健康コラム

No.20 下痢をしやすい人に

細菌性腸炎などでひどい下痢となった場合は、抗生剤や点滴が必要となりますし、慢性炎症性腸疾患などに対しては西洋薬によるきちっとした治療が必要となります。しかし、明らかな異常がないけれど下痢をしやすいという方には漢方薬がお勧めです。

緊張したり、冷たいものを飲食したりするとお腹が痛くなり、下痢気味になる方がおられます。そんな時第一選択の漢方薬は桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)ということになっています。しかし、それを飲めば大丈夫とならないことも多いのです。体の冷えを取ること、気の巡りを良くしてあげること、いらいらを和らげてあげることその他、一人一人の状態に合わせて、処方を選び、見つけ出す努力が必要になります。その人に合った漢方薬を発見するために、患者さんも医師も我慢が必要なことも少なくありません。

私自身は下痢をしやすいわけではありませんが、少し腹具合が気になるなぁというときには小建中湯(しょうけんちゅうとう)を飲んでいます。これは上記の桂枝加芍薬湯に膠飴(こうい:水飴)が加えられたもので、小児用というイメージが強い処方です。しかし大人にも有用です。

慢性的に下痢、というかたなら真武湯(しんぶとう)や人参湯(にんじんとう)を使うことが多いです。さらに人参湯に附子を追加して附子理中湯(ぶしりちゅうとう)という形でお出しすることもあります。これらが合わないときには啓脾湯(けいひとう)を使ったりします。もちろん漢方薬と一緒に乳酸菌製剤をお出しすることもあります。

西洋薬のいわゆる「下痢止め」は人によっては便秘に傾いたりします。一方漢方薬はそのようなことが起こりにくいです。無理に腸の動きを止めたりすることがないからです。さらにはお腹の調子を整えるだけでなく、体全体の調子を良くしてくれることもありますから、機会があれば漢方薬を試してみてください。

外科 品川裕治 (日本東洋医学会漢方専門医:外科部長)

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