健康コラム

No.26 ニキビ?吹き出物?

ある程度の年齢になって、「ニキビができた。」なんて言うと、「それは、吹き出物。」という突っ込みが入るのはお決まりですね。でも、ニキビと吹き出物というのは違うのでしょうか。

「ニキビ」は、思春期、成長期の若者にできるときにつかわれることが多いですね。この時期は皮脂の分泌が旺盛なため、人によると皮脂が毛穴に詰まってしまい、中で細菌が繁殖して炎症を起こします。一方「吹き出物」は、成長期を過ぎた人に対して使うことが多いと思います。この場合は、様々なストレス、例えば食生活の乱れ、過飲食、喫煙、睡眠不足などのストレス要因が重なることで、肌の代謝が障害され、溜まった古い角質が毛穴を塞ぐことによって、中に感染を起こすということになります。ということは、詰まると塞ぐという違いがあってもアクネ菌などが繁殖して炎症を起こすことは同じですね。

治療の基本は、スキンケアを行い抗生物質を上手に使うということだと思いますが、一緒に漢方薬を利用することもできます。ニキビという病名に対して使用できる漢方薬は、荊芥連翹湯、清上防風湯、それに桂枝茯苓丸加薏苡仁の3種類だけですが、全身所見を加味して他の方剤を使用することも多くなります。患者さんの体調がどのように乱れたことがニキビにつながっているかを考えるわけです。

かゆみ、高血圧傾向、のぼせ、イライラなどがあるという方なら、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)を使うことがあります。苦いお薬です。熱を冷まして炎症を抑え、赤みを取ってくれます。

青年期の方や、脂性の方なら、ニキビの基本漢方薬、清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)を使います。荊芥(けいがい)、連翹(れんぎょう)は皮膚疾患によく使われ、桔梗(ききょう)には排膿作用があります。全体としたら熱を冷ます方向に働きます。また、この方剤は瀉心湯類(黄芩と黄連が含まれる)に分類されますから、気持ちも鎮めてくれます。

性周期に伴って肌の調子が悪くなる方の場合、冷え性で浮腫む傾向にあれば当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、どちらかと言えば体力があり、顔に赤みがあるような方なら桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などが良いかもしれません。桂枝茯苓丸に薏苡仁を加えた、桂枝茯苓丸加薏苡仁ならばニキビが適応症となっていますが、桂枝茯苓丸と桂枝茯苓丸加薏苡仁とに効果の差があるかどうかはわかりません。

暴飲暴食などで胃腸の調子を乱しており、口の周りなどにニキビ(吹き出物)が出るようなときには、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)が効くこともあります。いわゆる漢方の胃腸薬である半夏瀉心湯が、お肌に効くことがあるわけですが、こんなところが漢方薬の面白いところです。

荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)は、にきびだけでなく、蓄膿症、慢性鼻炎、慢性扁桃炎などが適応となるものです。黄連解毒湯の生薬を内包しているので熱を冷ましてくれますし、荊芥や連翹などお肌に効く生薬も含まれています。炎症を繰り返す人などに使うと良いと思います。

体調や症状によっては、上記以外にも処方選択肢に挙がってくる方剤はいくつかあります。一つの処方を試して効かないからとあきらめず、ご自分に合った漢方薬探しを楽しんでみてください。

外科 品川裕治 (日本東洋医学会漢方専門医:外科部長)

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