健康コラム

パーキンソン病とはどんな病気?

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パーキンソン病とはどんな病気なのでしょうか?

パーキンソン病とは

脳内のドパミンというホルモン(正確には神経伝達物質)が足りなくなるために以下の症状が出ます。ドパミンは中脳の黒質細胞が作っていて、この黒質細胞が何らかの原因で減少してしまうためです。多くは遺伝しませんが、時に遺伝性(家族性)の場合があります。

日本では、人口1,000人当たりに約1~1.5人と言われていますが、60歳以上では100人に1人で、今後ますます患者数は増えると予想されます。発病年齢のピークは、50歳台後半から60歳台にあり、比較的高齢ほど発病しやすくなります。例外的に20歳台の発症者もあります。若くして発病した方の中には、遺伝子異常の関与が多いことが解ってきています。

その原因は?αシヌクレインとレビー小体

タンパク質の一種であるαシヌクレインが集まり異常な形になると細胞にダメージを与えるようになります(細胞障害)。レビー小体とはαシヌクレインが神経細胞の中で塊を作ったものです。これが細胞障害性を持つのかあるいはαシヌクレインを無毒化してできた産物なのかはまだよく分かっていません。

レビー小体の広がりと症状

レビー小体の沈着が中脳黒質(赤の部分)におよぶと、ドパミンを作る細胞が細胞死で減少していきます。その結果、ドパミン不足により特徴的な運動症状が出現し、ここで初めてパーキンソン病と認識されます。しかし実は、レビー小体の沈着は、それよりずっと以前から脊髄や脳幹から始まっており、それに伴い非運動症状が始まっていると考えられています。
レビー小体の広がりと症状

ドパミンの欠乏

脳の深部には基底核と呼ばれる神経回路があります。
中脳黒質のドパミン細胞は長い神経線維を線条体に伸ばし、線条体にドパミンを絶えず分泌し基底核回路を調節し、スムーズな運動を可能にしています。

基底核回路には、ブレーキとして働く細胞連絡(青)とアクセルとして働く細胞連絡(赤)があります。正常の基底核では、ブレーキとアクセルがバランスよく働いていますが、これは黒質からドパミンが十分に分泌されているからです。

中脳黒質でドパミン細胞が減少すると、線条体に分泌されるドパミンも減少します。ドパミンの減少により、ブレーキとアクセルのバランスが崩れると、視床下核と淡蒼球内節の活動が過剰になり、結果として視床と大脳皮質の連絡が障害され、運動障害を引き起こします。

パーキンソン病の主な運動症状

三大徴候は、振戦、筋固縮、無動(四大徴候は、姿勢反射障害が加わる)です。

症状1… ふるえ(振戦)

手や足、時には頭部や唇も規則正しくふるえます。安静時にみられることが特徴で、動作の開始とともに消失することが特徴です(安静時振戦)。

しかし、なかには動作時や姿勢時にも見られることがあるので本態性振戦と診断されうこともあり、注意が必要です。

親指と向かい合う四指が同時に丸薬をまるめるようにふるえること(丸薬まるめ運動)もよくあります。

症状2… こわばり(筋固縮)

自分で感じる症状ではありません。安静時にも常に筋肉に力が入っているため、診察者が患者さんの手や足を曲げたり伸ばしたりすると硬く動かしにくく感じる状態です。

ふるえがはっきりしている場合は、曲げ伸ばしの間にふるえを感じますが、ふるえが見られない場合でも「カクカク」とふるえのような抵抗(歯車様固縮)を感じるのが特徴です。

症状3… 動作緩慢(寡動または無動)

動作そのものがおそい、動き始めに時間がかかる、動く範囲が小さくなるという症状です。リズムを取ることも難しくなります。

症状4… 転倒(姿勢反射障害)

横方向や後ろ方向にバランスを崩しやすく、体勢を立て直すことが難しくなります。

その他の運動症状

無動に関連してさまざまな運動症状が見られます。

・小刻み歩行 … 一歩の歩幅が狭くなり、チョコチョコ歩きになる。左右の横幅も狭いのが特徴。
・すくみ足 … 足が地面に吸い付いたように、歩き出しの第一歩が出にくくなる。
・突進現象 … 前傾姿勢でつま先に重心がかかり、歩き出すとともにだんだん早足になり止まれなくなる。

・腕振り減少 … 歩行時の自然な腕振りがなく、上半身とともに固まって見える。
・小字症 … 力がなく、書いているうちに右下がりで小さい字となっていく。
・仮面様顔貌 … 表情が少なくなる。手足に症状が強い側では、顔のシワが反対側に比べて浅くなる。

非運動性の症状

パーキンソン病では実にさまざまな症状を伴うことが知られています。

・前屈姿勢 … 背中が丸くなる。
・流涎(よだれ)、飲み込みにくい … のどの無動症状。無意識に飲み込む運動が少なく、よだれが溜まる。
・小声 … 抑揚のない喋り方。
・便秘 … 多くの場合、運動症状に気付く前から始まっている。
・足の腫れ … 毛細血管が網目状に浮き出て見えることも(網状青斑)。一方、上半身は汗をかきやすい。
・体重減少
・気持ちの落ち込み、意欲・自発性の低下 … 物事に興味を持たなくなる。
・不眠 … 睡眠中に(夢を見て)大声を出すこともある。

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