健康コラム

人工ひざ関節置換術について▶動画

人工ひざ関節置換術(表面置換術と表現されることもあります)

半月板や軟骨が傷んでしまいO脚やX脚になってしまったひざや靭帯が傷んでグラグラになってしまったひざは体重がかかる度に悲鳴をあげてしまいます。

  • 歩行時に痛みが出る。
  • 階段昇降で痛みが出る。
  • 立ち上がり、動作開始時に痛みが出る。
  • 痛みはそれほどないけど膝が抜けて転びやすい。
  • 夜間にひざの痛みで目がさめる。
  • 周りから脚を引きずっていると言われる。

こういった症状がある場合はかなりの確率で変形性ひざ関節症と診断がついてしまいます。

40歳以上で女性は60%以上、男性でも40%以上にレントゲンでの変化があり、60歳以上になると女性では80%、男性は60%に上昇すると言われています。保存治療(内服、外用、注射、リハビリ、物理療法など)でも痛みが取れず生活に支障をきたしている場合、人工ひざ関節置換術を選択することになります。

 

当センターの人工ひざ関節置換術の特徴

筋肉を切らない

各患者さんにあったインプラント選択

オーダーメイド

輸血なし

回復が早い

スポーツが出来る人工関節

 

筋肉を切らない

手術は医者が100人いれば100通りの方法があります。当センターでは筋肉を切らないsubvastus approachという手技で手術を行います。膝蓋骨(お皿の骨)の上にある滑液包も触りません。(各関節の上の皮膚が他の部位より大きく動くのは滑液包のおかげなのです。)ひざの内側や外側にある靭帯も殆ど剥がしません。筋力の回復が早く、最終的にも力が入りやすくなります。
>>筋肉を切らない膝の手術法について

筋肉を切らない手術例(手術前・手術後の様子)

筋肉を切らない侵入方法での手術例(両膝人工関節手術)です。
手術前と手術後1ヶ月の歩行の様子をご覧ください。

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手術前の歩行
手術後1ヶ月の歩行

※患者さんに同意をいただいて掲載しております
●すべての患者さんに同様の結果が得られるわけではありません。症状の改善には個人差があります。

各患者さんにあったインプラント選択

世の中にいろんな車種や型番があるのと同様に、実は人工ひざ関節には様々な機種があります。当センターでは、ひざの状態や骨形状、復帰を望む活動レベル、年齢、社会背景等を熟慮して、最も望ましいと思われる治療を選択しています。靭帯、軟骨、半月板、関節包、筋肉などの組織をどこまで残すかが機種によって異なります。自分の組織には固有感覚(proprioception)というものがあるので動かしたい方向に手足を動かすことができるのですが、手術をすると関節の位置や動く方向が変わってしまいます。当センターでは、できる限り固有感覚を残すことで「自分のひざっぽい」ひざを作ることを心がけています。あああ

オーダーメイド

組織を残して固有感覚を大切にすることと同じくらい重要視しているのが人工関節の設置角度です。人工関節の設置角度が本来のひざの方向であれば、残された靭帯や関節包などに過度の緊張が生じず、術後の痛みが軽く、関節機能の回復が早いと考えられます。実は、手術中に個々のひざの解剖学的な位置を把握することは難しいとされています。手術が進むにつれて骨が削り取られるため、目印がなくなっていきます。また、手術中には大腿骨や脛骨の正面がわかりづらく、大腿骨頭や足関節の中心を知る術はありません。そこで、当センターではCT画像を三次元再構築(立体的な図)して設計図を描き、それを3Dプリンターで形に起こして手術を行っています。

手術前の3D設計図作成

 

 

輸血なし

もちろん出血しますが、術中出血は20〜100cc程度で、術後の出血を加えても総出血量は30〜200cc程度です。通常、400cc以上の出血が予想される場合に輸血を準備しますので、両側同時手術の際には術後の状態によっては輸血を考慮しますが、実際に輸血を必要とすることは殆どありません。私が赴任して以来200人以上の手術を行っておりますが、両側同時で1回、術後の上部消化管出血で1回の2回でした。基本的に輸血はしません。

 

回復が早い

手術翌日より歩行訓練を開始します。難しいようであれば車椅子移乗程度にします。手術3,4日後にシャワーを許可しています。術後1〜2週で退院を許可しています。ベッドに余裕がある場合は4週を限度に入院リハビリを行っています。家庭の事情等により更なる入院リハビリをご希望の方は回復期リハビリテーション病棟で継続的にリハビリを行うこともできます。

 

スポーツが出来る人工関節

ACLを残したTKA

スポーツ復帰の事例

例1)人工ひざ関節置換術(右ひざ手術)後

ソフトボールのピッチャーでマスターズの全国大会レベル。手術前は右大腿骨内顆骨壊死で1年以上の痛みを抱えていましたが、手術後6ヶ月で試合に復帰しています。手術後1年で110km/hの投球が可能となり、エース復活です。ジョギング、ダッシュも可能です。2019年も全国大会出場、フル回転の活躍を遂げています。

手術後6ヶ月目
現在(試合風景)

 

例2)人工ひざ関節置換術(両ひざ手術)後

元々マラソンをしていましたが、膝が痛くなってから10年以上は走っていませんでした。 手術後1年半でフルマラソンを完走しました。バイクも問題なく乗っています。現在はトライアスロンにも挑戦しています。

※患者さんに同意をいただいて掲載しております
●すべての患者さんに同様の結果が得られるわけではありません。症状の改善には個人差があります。