股関節の構造と代表的な疾患について
股関節の構造と代表的な疾患について解説します
股関節は、「ボール」と「ソケット」にたとえると分かりやすくなります。受け皿である骨盤側の寛骨臼(かんこつきゅう=ソケット)と大腿骨頭(だいたいこつとう=ボール)の組み合わせが股関節です。
股関節は、歩行時には体重の4倍もの重みを受け、また大きな動きを要求されるため独特な構造をしています。
寛骨臼は大腿骨頭を包み込む構造をしています。大腿骨頭と大腿骨軸を結ぶ大腿骨頚部は前方に捻れた前捻角(ぜんねんかく)をもっています。
膝関節に比べると安定のよい関節(ボールとソケット)ですが、四つ這いで歩いていた人類の祖先が、直立二足歩行をするように進化したため骨盤が立ってしまい、結果的に股関節の前方の覆いが少なくなってしまいました。
よって新生児期のオムツの当て方や先天的な原因で脱臼(先天性股関節脱臼)を起こすことがあります。
また、寛骨臼の凹みが浅い股関節(臼蓋形成不全股)では亜脱臼が生じ、関節のぐらつきによる股関節の痛みや大腿から膝にかけての痛みを生じることがあります。
このような股関節では関節にかかる重みが分散されず、軟骨が摩耗し、それにより関節が更にぐらつくという悪循環が生じます。
関節のぐらつきを止めるため体が反応して骨が増殖し変形しますが、このことが関節の動きを悪くする原因にもなります。
このような破壊性の病変と増殖性の病変を特徴とする股関節の病気を「変形性股関節症」といいます。
※くわしくはこちらをご覧ください → 変形性股関節症について
その他、小児の「大腿骨頭壊死症(ペルテス病)」、成人の「大腿骨頭壊死」、小児の「大腿骨頭辷り症」、感染その他多くの股関節に関連した病気があります。
※くわしくはこちらをご覧ください → 大腿骨頭壊死について
股関節の構造 | 後面 | 側面 |
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