新時代のDBS
新時代のDBS
DBSには正確な植込み技術が必要です。しかし実は、電極を植え込んだ先が、本当に「治療に最適な場所」かどうかは誰にも分かりません。
術後の画像検査では電極は良い位置にあります。なのに、実際に刺激してみると、思いもよらぬ副作用が先に出てくることがあります。
そのため、どうしても刺激電流を十分に上げることができない、または、「喋りにくい」 「しびれ」などの副作用を我慢するしかありません。
ディレクショナルDBS
従来の電極は、刺激する深さ(高さ)を4段階に変えることしかできませんでした。2017年より導入された新しい電極では、刺激の方向を自由に調整することができます。これにより、もしも従来の刺激で何らかの副作用が生じる場合、刺激の方向を変えることにより副作用を回避できることが期待できます。
また、(電極を入れ直す)再手術の必要性を減らせることも期待できます。
多独立電流制御 (MICC)
従来のDBSでは、電極の選び方は非常に限られていました。つまり、4つの電極のうち「どれを使うか?」そして「どれを使わないか?」です。
また、実際に役に立つ電極は?というと、4つ全てではなくせいぜい2つまで。それ以外の電極は使っても、多くは効果がないか、副作用のため使えません。
ちょうどいい深さ(高さ)に電極の中心を置く必要がありますが、そもそも手術中には、どこが最も刺激に有効な深さなのか?なんて誰にも分かりません(それでも、少しでもいい場所に電極を置けるようにベストを尽くします)。
手術が終わって刺激を始め、1-2ヶ月経って初めてどの深さが刺激に有効なのかがだんだん分かってきます。
MICCとは、Multiple Independent Current Control (多独立電流制御)の略です。
MICCはそれぞれの電極を独自の電源で自由に使えるようにする技術です。MICCにより、それぞれの電極への電流を1%刻みで調整できるため、植え込まれた位置にかかわらず全てのレベルで刺激できるようになります。
刺激に有効な場所がどの深さであっても、そこに刺激の中心を持ってくることが可能となります。
ディレクショナルDBSとMICC
MICCはそれだけでも強力なツールですが、ディレクショナルDBSではさらに大きな力を発揮します。
現在のディレクショナル用電極は3方向に分割されており、MICCがない場合は電流の拡散方向を主な3方向に向けることしかできません。
ここにMICC技術が加わると全方向への電流拡散が可能になります。
MICC技術によって必要な部分に必要な刺激電流を流せるようになりました。
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