ジストニア(ジストニー)とは?
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ジストニア(ジストニー)とは?
体の一部分あるいは広い範囲で、筋肉に勝手に力が入るために、不自然な姿勢をとる病気です。つまり、手足を曲げたり突っ張ったり、ふるえたりすることもあります。正確には「ジストニア」とは症状の名称であり、さまざまな病気が含まれる「症候群」です。
発病は体の一部で無意識に力が入ることから始まり、徐々に広がっていきます。なかにはある日を境に急激に発病することもあります。一般に急性の脳症状では脳出血や脳梗塞など血管障害やてんかんとの鑑別が重要です
書痙など、ある動作に限って生じる局所性ジストニアは、しばしば職場で「気持ちの問題だ」とか「精神的に弱いから」とか言われてしまいます。とてもつらい病気なのに社会的認知度が低く、適切な治療法になかなかたどり着けないこともあります。
ジストニアの「原因」による分類
1. 特発性ジストニア(原因不明)
多くは遺伝子異常によります。現在では約20もの遺伝子異常によるジストニアが発見されています。
そのひとつで、日本人に比較的多い「DYT1ジストニア」は、次の世代に50%の確率で遺伝子異常が引き継がれますが、遺伝子異常を持っていても30%しか発症しません。したがって家族歴が分からないこともあります。
2. 続発性ジストニア(なんらかの脳病変や原因があって、その後から合併してくる)
●薬剤性 … 抗精神病薬の副作用として生じることが知られているジストニアです。
・原因薬剤の中止で治らなかったり、中止後に進行したりすることもあるので注意が必要です。
●外傷性 … 脳挫傷などで生じるジストニアです。
ほかにも … 血管障害、代謝異常、神経変性疾患、脱髄性疾患、感染性、中毒などがあります。
ジストニアの「症状」による分類
1. 局所性ジストニア(体の一部にのみ限局する場合)
眼瞼痙攣(がんけんけいれん)
両目をギュッとつぶります。ひどい場合は盲目状態になります。
痙性斜頸(けいせいしゃけい)
下図のように頚(くび)がさまざまな方向に傾きます。または引っ張られる動きを伴います。
※画像は痙性斜頚ではなく芸術作品です。左から、瀕死のガリヤ人(カピトリーノ美術館)、出典不明、ラオコーン(バチカン美術館)、拳闘士の休息(ローマ国立博物館)
痙攣性発声障害(けいれんせいはっせいしょうがい)
絞り出すような声、かすれた声、声が出ません。
書痙(しょけい)
字を書く時に限って力が入り、字が書けなくなります。
ある動作に伴ってのみ出現する場合を「動作特異性ジストニア」といいます。
音楽家、理容師、ゴルファー、プログラマーのマウス操作など、熟練した動きを必要とする職業に多く、「職業性ジストニア」と呼ばれています。
顔面ジストニア(メイジュ症候群)
顔面を中心に両目や口など対称性に力が入ります。
・口は「イー」と横に広げるか、「ウー」とすぼめるかどちらかです。
・首のジストニアが加わることもあります。
・力が入り続けることもあれば、瞬間的かつ立て続けに力が入ることがあります。
※画像は顔面ジストニアではなく芸術作品です。左: Gian Lorenzo Bernini (1598-1680)作 中, 右: Franz Xaver Messerschmidt (1736-1783)作