股関節の疾患「大腿骨頭壊死について(2) ~検査と診断~」
大腿骨頭壊死の診断まで
当院では、大腿骨頭壊死の診断のために、レントゲン、MRIなどの検査を行います。
●レントゲンでは骨頭の圧潰像をはじめ、骨頭内に帯状の硬化像や骨頭表面近くの骨折像が観察できることがあります。
●MRIではより詳しく壊死範囲を知ることができます。
これらの所見を総合して大腿骨頭壊死と診断します。
●診断が確定したらこの病気がどのような状況にあるかを判断します。
「病型分類」と「病期分類」です。
「病型分類」はレントゲンやMRIを参考にTypeA,B,CI、CIIに分類します。
「病期分類」では骨頭潰れ方によってstage1~4に分類します。
大腿骨頭壊死の検査の解説
レントゲン
最も基本的な画像検査です。
股関節の正面像と杉岡式大腿骨頭側面像の撮影を行います。
大腿骨頭壊死では骨頭内に帯状硬化像と呼ばれる所見が観察されます。
また骨頭が圧潰を起こした場合、骨頭が球形からいびつな形になります。
関節裂隙と呼ばれる軟骨の厚みは病期が進むとすり減っていきます。
正面像 |
正面像 |
骨頭内に帯状硬化像を認め、 骨頭は高度に圧潰している。 |
骨頭の後方に健常な関節面を認めるが、 前方部分は圧潰している。 |
MRI(磁気共鳴イメージング)
大腿骨頭壊死を診断する上で有力な検査の一つです。
壊死を起こしている骨頭では壊死部と健常部を分けるlow band(ローバンド)と呼ばれる黒い帯状の所見を認めます。これはレントゲン所見での帯状硬化像と一致します。
当院では様々な角度で切った骨頭の断面を詳細に検討し壊死部の局在を正確に確定しています。
CT(3DCT)
圧潰した骨頭の状態を三次元処理して手術の際の参考にします。
関節造影検査
骨頭表面に存在する骨頭表面の窪みを描出するほか、軟骨の状態、異物の有無、関節の動きを検査します。
正面像 |
ラウエン像 |
※骨シンチ(当院では行っていませんが、参考までに掲載しています)
生きている骨組織に集まる薬剤を注射して撮影される画像診断です。
壊死に陥った骨へは取り込まれないので、集積像の中に抜けた部分として壊死部(cold in hot)を描出できます。
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